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2009 年 6 月2日

陳  情  書


高 野 之 夫 殿

『西池袋周辺の環境を守る会』住民一同

代 表     吉井  捷治

副代表   大久保 暢之

副代表    新井 忠雄

 

日頃よりの区政へのご尽力に心から感謝申し上げます。 

私たちは東京都豊島区西池袋 4丁目の住民です。

東急不動産(株) が 豊島区西池袋 4丁目988番1外(地番); 4丁目12番 (住居表示)において、「(仮称)西池袋4丁目新築工事(共同住宅)」の建築計画をしています。

私たちの住宅地域におけるこのマンションの建築計画に関して、地域住民の生活環境が著しく悪化する懸念から、 2009年1月10日以来、建築主の 東急不動産(株)および計画地の前所有者で近隣説明担当の フィンチ(株) と話し合いを持ってきました。

しかし、現段階に至るまで、話し合いがつかず、結論を見出すことができない状態となっております。そこで「豊島区中高層建築物の建築に係る紛争と調整に関する条例」に基づき陳情書を提出いたします。

自主的な当事者間の「話し合い」から「陳情書を提出」する理由は以下に掲げるとおりですが、これは建築主側が誠意ある態度で話し合いの場に臨んでいないことにより起きたものです。

【陳情に至った理由】

2008年2月20日から3月15日にすでに施行された、 フィンチ(株) による家屋群の解体におきましては、事前に住民に対する十分な説明等は行われず、また、説明会開催の機会もなく実施されました。 現地は谷端川に近接した地下水脈が豊富で、なおかつ工事による陥没事故が多発する 脆弱 な地盤です。 この際には常識の範囲を逸脱した騒音・振動があり、近隣の複数の住宅で 壁のひび割れなどの 損傷被害が確認されております。説明不足のままに着工された解体工事に関して、解体対象となった家屋群において、有害廃棄物である吹きつけアスベストやPCBが使用されていなかったか、使用されていた場合、解体工事におけるしかるべき届け出や、近隣住民の健康被害を防ぐためのマニュアルは遵守されていたかどうかも不詳です。今後の建築工事にあたって、不安を感じている周辺住民と工事協定等について、十分話し合う必要があります。

建築予定の 東急不動産(株) マンションは高さが建築規制上限の 20.99メートル、地上7階、地下1階、戸数40戸の建築物です。この建設によるさらなる建築被害の増大、建築後は「アメニティ形成特別推進地区」である近隣周辺の居住環境や地域の街づくりに与える著しい影響が懸念されます。

また、建築予定地周辺においては、当該建設地北側の都市計画道路 補助 172号線はいまだ整備中であり、現場東側は幅4mに満たない狭あい道路です。この道路は、近隣の区立池袋第三小学校と区立西池袋中学校、区立第二保育園の通学路となっており、ここを通学時間にもかかわらず多数の工事車両が通行することは、児童をはじめとする付近住民にとって、著しく危険を及ぼすものであります。

西池袋地区の良好な住環境を守るために、住民の意向を汲み、計画を修正することを望み、建築主である 東急不動産(株) との話し合いを求めてまいりましたが、当初は説明会に参加もせず、 建築予定地を購入・転売したフィンチ(株)と、 設計者 デザイン・クルー (株) に説明を丸投げしました。フィンチ(株)は住民を不安に陥れる強硬な態度で、全く交渉の余地がありません。住民側の重ねての要求に応じ、東急不動産(株)は渋々 3回目の説明会から出席するようになりました。しかし 両社の説明は極めて不十分かつ不誠実なもので、建設につきましても、工事協定を結ばないまま建築確認を申請し、着工を強行しかねない状況です。近隣住民の理解を求め、協調する努力は全く感じられず、一同は不安を募らせています。

よって、以下のような陳情をする次第です。

建築主・設計者・施工者 (未定)に次の通り要請し、陳情いたします。

【計画建築物への陳情内容】

•  通行路と工事道路
  現在、建設予定地に隣接するのは、整備中の都市計画道路 補助 172号線と、幅4メートル未満の狭あいな公道1本しかない状態です。この整備中の道路が完成されたとしても、上記公道を大型車両が通過することは避けられず、建築基準法第42条、ならびに、車両制限令(根拠法令:道路法第47条)に反する恐れがあります。
  建設予定の建物の規模から入居世帯数も多いと考えられるので、東側の恒久的な幅 4メートル道路を整備し、その完成後に工事着工する事を要望します。

2.  解体工事における環境被害について

フィンチ(株) による家屋群の解体におきましては、常識の範囲を逸脱した騒音・振動があり、すでに近隣の複数の住宅に 壁のひび割れなど 周辺家屋損傷が散見されております。 ( 別紙 図1、図2参照 )
また、有害廃棄物である吹きつけアスベストやPCBが使用されていなかったか、使用されていた場合、解体工事におけるしかるべき届け出や、近隣住民の健康被害を防ぐためのマニュアルは遵守されていたかどうかということについても、住民は多大な不安を持っております。
フィンチ(株) は、住民に対して納得のいく説明を行い、かつ、家屋損傷などにおいては、しかるべき補償を行うとともに、上記有害廃棄物による健康被害の疑いがある場合、速やかに、措置を講ずるべきであると思われます。

• 3. 東急不動産(株) マンション建築案について
  当該建築物は、敷地面積 737.32平米、延べ面積3641.39平米、高さ20.99メートル、地上7階、地下1階、40戸の計画です。 周辺は第 1種中高層住居専用地区で、これまで建築規制の厳しい地域でした。これが奏功し、豊島区の文化芸術創造の源「池袋モンパルナス」の流れを汲む緑の豊かな環境が、区の保護樹林などとともに守られてきた地域です。そこに 建築規制限度ぎりぎりの建物を敷地いっぱいに建築されるため、日陰面積が著しく大きくなり、その影響を受ける家屋も多くなります。この地域には高齢者も多く、外出の機会が少ない老人や病人にとっては、日照を奪われることはたいへんな打撃になります。また、アトリエのある世帯ではこれは生活権にもかかわります。

また、地下工事により災害時のライフラインとなる地下水脈を遮断する恐れもあります。これを保全するとともに、何より現在も周辺で見られている地盤沈下を助長するなど、近隣住宅へのより深刻な影響が懸念され、不必要な地下計画の中止を望みます。
  南および西側は 隣接境界からマンションの ベランダまで わずか約 60センチの距離 しかありません。さらに 建築規制限度上限の 7階建てであるうえに、屋上までも開放して利用するのは プライバシーや防犯、落下物にも多大な不安があります。
  今までは低層建築の一般家屋と駐車場であったため、眺望 の問題と圧迫感はありませんでした。建築予定の建物の場合、建物に面した側は眺望が完全に遮られ、また、建物の圧迫感は周辺の景観からは相当に逸脱したものであります。 ( 別紙 図3〜5 参照 )
以上の理由により、私たちは、まず建築物の設計の変更を強く要望するものであります。

•  工事協定書締結について

建築工事着工は、住民側と工事協定書の締結を取り交わしてから、工事着工に入ることを要望します。
  工事協定書は具体的項目ごと(休日、作業時間、安全管理、騒音・振動を含めた環境配慮、衛生管理、苦情処理、家屋損傷と身体的損傷等の損害補償及び、老人宅対策、施工後の電波障害、風害等)に、住民側の了解を得ることが前提となります。さらにマンション完成後の管理も見据えた協定作りは、今後入居される住民との良好な近隣関係を構築するうえでも不可欠です。

 

われわれは 住民の会を結成し、西池袋の発展と環境の調和を図るべく、説明会を求めてまいりました。 しかし東急不動産(株)ならびにフィンチ(株)は住民が求めた情報提出や日時設定をも無視し、説明会の内容も恣意的に議事録から削除されている可能性があります。区に対してもこれまでどのような報告がなされているのか不詳であり、住民の不安が募っています。東急不動産(株)は企業利益を優先するのみでなく、住民と協力のうえで環境と共生した街づくりに誠実な姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 

上記の点について、区長におかれましては建築主に対し、周辺環境及び近隣住民の不安に十分配慮し、住民の理解が得られる街づくりをすべく十分に協議を重ねることをご指導賜りますよう、衷心より陳情を申し上げます。